単なる流行り?|ミニマリストが日本で増えるのは必然であると思う理由

思考

2024.08.12

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ここ最近ミニマリストが増加傾向にあるみたいですが、単なる流行りなのではないかという見方も当然あります。しかしこれは少し語弊があるなと思っていて、そもそもその人のライフスタイルなので本当は流行りも何も無いのです。

流行りに乗ったというより、考えて試行錯誤した結果として最終的に行き着いた先がミニマリストだったという言い方が適切だと思っていて、そういう価値観の人が増えているという言い方の方が正しい気がします。しかしこれだと話がそれで終わってしまうので、日本でミニマリズムという価値観に興味を抱く人が増えている理由を考えてみました。

目次

  1. 日本はもともとLess is moreの国である
  2. 地震大国日本で持たない生活は相性が良い
  3. 溢れすぎた物から情緒的な幸福へのシフト

1. 日本はもともとLess is moreの国である

  • 日本は引き算の文化である
  • ミニマリスト向きの国民性
  • 本来のあるべき姿に戻ってきている

そもそもの話なのですが、日本はLess is moreの国なのです。つまり少ない方が豊かであるという価値観なのです。日本の美意識としてよく“侘び寂び”という言葉が使われます。質素なものや古いものにこそ趣があり美しく風情があるという価値観で、日本の建築や茶道、禅や美術なんかでも大きな影響を与えています。

庭園やインテリアでも広い空間を大胆に使って質感のある物体を置くことによって、より物体が際立ち風情がある空間を演出したりします。そしてそれを風情と感じる日本人の感性はとても美しいと私は思います。

しかし今の日本はどちらかというと海外の文化に寄せすぎてしまったせいで、本来の日本の良さを失い始めているのでは無いかと私は考えています。多様化や暮らしのレパートリーや幅が広がったのは事実で豊かに暮らせる人も増えたかもしれませんが、代わりに日本の美意識みたいのがだんだんと薄れてしまっている感覚です。

つまり、日本人はそもそもミニマリスト的なライフスタイルの方が適しているのではないかということです。もちろんその人の価値観によるので”日本人”という大きな括りにするのは良くないと思いますが、それくらいのポテンシャルを持っていると私は思います。

日本は、国を代表する国旗ですらも白い旗に赤い丸が書いてあるだけのシンプルなデザインなのです。それでも他の国の装飾や色も豊富で派手な国旗よりも佇まいが美しいです。

ミニマリストという言葉自体はアメリカの富裕層のライフスタイルが発祥らしいのですが、日本の歴史などを辿るとミニマリストが多くなってきているというよりも本来あるべき姿に戻り始めているなんて考え方も面白いかもしれません。

2. 地震大国日本で持たない生活は相性が良い

  • メディアなどで植え付けられた震災リスク
  • 持たない暮らしは震災の予防にもなる
  • 地震大国日本で合理的な選択

日本は世界有数の地震大国です。これは当然最近始まった話ではなく、昔からずっとです。そしてミニマリズムと地震や災害との相性はとても良いというのもミニマリストの増加に関係していると思っています。

せっかく建てた家が地震で倒壊したり、津波で全て流されてしまったりという悲しいニュースを昔からTVの報道などで見てきました。そのせいなのかどうしても日本では震災へのリスクが根深く残っている印象があります。実際に震災がきっかけで持たない暮らしに興味を持ち始める人がいたり、震災がライフスタイルに大きな影響を与えるきっかけになっているというケースも聞きます。

さらに今後、首都直下型地震と南海トラフ地震は30年以内に70%程度の確率で起きると予想されていますし、もちろんそれ以外にも大きな地震がくる可能性が日本にはあります。

より自らの安全を確保するという意味でもミニマリストという生き方は良いと考えています。例えば持ち家を持たずに賃貸にして機動力を上げることだったり、モノの保有を最小化して災害のリスクを軽減させるなどできるのです。

例えば倒壊を恐れるなら強度がより高い賃貸を借りることもできるし、津波を警戒するならできるだけ高い土地に低リスクで引っ越すこともできるし、物に関していうと重たいタンスなども倒れてくるタンスがなければ怪我することもないということになります。

そう考えるとミニマリストというライフスタイルは地震大国日本において合理的な選択であるという見方もできます。ただ当然ながらいつくるか予想できないことなので考えすぎも良くありません。

地震に備えるという考え方も大切ですが、それにとらわれてばかりだと逆に全く動けない状態になってしまうので最低限の準備や備えをしておくというスタンスが無難なのかもしれません。

3. 溢れすぎた物から情緒的な幸福へのシフト

  • 物質的な物は充分足りている
  • 機能から情緒へのシフト
  • 所有という概念が曖昧さ

結論から言いますと、物が沢山あることこそ幸福の象徴だった時代が終焉を迎えつつあると考えています。今まで物質的な物が足りていなかったいたので物に大きな価値がありましたが、今は物質的な物は充分足りているというお話です。

生活するにおいて家に冷蔵庫がありません、電子レンジがありません、洗濯機がありませんというご家庭は少数派だと思います。つまり現代では“普通”に生活する分にはあまり困っていないという人が多いのです。

今は需要と供給のバランスが崩れて、物質的な物よりも情緒的な幸福に比重が傾いてきていると思っています。例えば“新品で機能も充実していて、尚且つ安い物”よりも“古くて不便で、しかも高い物”を好んで購入する人が増えています。ストリーミングサービスよりあえてレコード、スマホのカメラではなくヴィンテージカメラを使ったりするのも機能から情緒へのシフトだと考えています。

ミニマリスト的な観点から見ると、自分の心を満たしてくれる物は置いておきたいけどそれ以外はあまり必要ないというシンプルな考えに至るのです。今は物ベースで話していますが人によっては家族や友人などの大切な人との時間だったり、仕事だったり趣味だったり旅行だったり、創造的な活動だったりするかもしれません。

しかも最近ではIT技術やサービスの発展により、クラウドに情報を置いておくことができたりレンタルで手軽に物を借りれたりと、所有という概念が曖昧になってきています。”便利なものはすぐに手に入る良い時代”というのもミニマリストという価値観が受け入れられてきている原因の一つなのかなと思っています。

もちろんこの考え方に囚われすぎるのも良くないと思っていて、当たり前ですが物も必要です。それは間違いないですが時代の変化と価値観のバランスが崩れて偏ってきているという印象はあります。

まとめ

日本でのミニマリストという価値観は単なる流行りではなく、時代背景や日本人的な価値観から必然的にそうなってきているのではないかというお話をしました。ただ私がお話ししたいのは、国民全員にミニマリストになってほしいということではありません。

ミニマリズムという概念はあくまで自分の幸福度を最大化できるような人生を送るための手法であり過程だと思っています。当たり前ですが物を減らすことによって不幸になるくらいならやめておいたほうが良いですが、そういったライフスタイルがあるということを知ることも大切です。

この記事をきっかけにミニマルライフにご興味を持ってくれた方がいればとても嬉しく思います。

(筆者)

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Ukyomas

Webデザイナー、振り付け師、ミニマリスト。人生の余白を作り、個人がストレス無く生活して自由に創造できる未来を目指している。

筆者について